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教育システム:フランスの教育制度

フランスの教育制度

もしあなたが、「フランスに留学したい!」「フランスで暮らしていきたい」と考えているのであれば、日本とは違うフランスの教育制度について知っておく必要があります。
日本とは違う、フランス特有の教育制度について確認してみましょう。

義務教育

フランスの義務教育期間は6-16歳までの10年間です。「5-4-3」制の教育制度を採用していますが、最後の2年は義務教育外となります。

◇ステップ1:初等教育(5年)…(?cole ?l?mentaire)日本でいう小学校にあたります。
◇ステップ2:前期・中等教育(4年) (Coll?ge)…日本でいう中学校にあたります。中等教育終了後、「BEPC」と言う卒業証明証が授与され、次の3種の高校のうちいずれかに進学をすることになります。
◇ステップ3:後期・中等教育 (3年)(Lyc?e)…日本でいう高校にあたります。

勉強内容 卒業後に授与される資格
普通教育課程 Lys?e g?n?ral 大学を目指す
工業高校 Lys?e technologique 工業の専門的な知識を身に着ける
職業高校 Lys?e professionnel パンや製菓、建築などの専門知識を身に着ける


バカロレアを取得するための試験は卒業前に受けるのが基本で、合格すると高校の種類に応じたバカロレアが授与されます。
バカロレアの取得は大学進学にあたって必須となりますが、学校に所属していなくても個人で受験取得することが可能です。
バカロレアは日本でいう「高卒認定試験」のようなものだと言えますね。

国際バカロレアとの違い

国際バカロレアとは、「世界で認められている高校卒業証明書」です。
日本のインターナショナルスクールの一部もバカロレア委員会に登録されていて、卒業すると国際バカロレアが発行され、各国大学への入学権利を取得できます。
ただしフランスで大学進学を目指す場合、国際バカロレアでは、高等教育機関の入学を満たすレベルとして認められないケースがあるので注意しましょう。
また、日本の高校卒業資格を持っていても、フランスの教育水準と同等のレベルではないと見なされ、フランスの大学には進めません。
フランスの大学への進学を検討するのであれば、高等学校卒業証明書+ 高等教育機関(大学)への入学資格証明(入試合格証明書、大学在学証明書など)が必要になります。

高等教育(大学)は2種

フランスの大学に進学するにあたり、日本のようなセンター試験や大学独自の入試試験はありません。
必用なのは、「フランスのバカロアレ」のみです。ただし医学部になると例外的に試験が行われます。
フランスの高等教育は大学(Universit?)とグランゼコール(Grande ?cole)の2種類に分けられ、グランゼコールはエリートコースとも呼ばれます。

◇大学(Universit?)について

  • 学士 Licence(リサンス)3年
  • 修士 Master(マスター)2年
  • 博士 Doctorat(ドクトラ)3年ランゼコール(Grande ?cole)

上記3つの過程が用意されています。

フランスでは学士・修士課程まで授業料が無料なので、修士号まで取る学生がほとんどです。
博士号を取得すると企業側がより多くのお給料を払う必要があり、採用したがらない傾向があります。
フランスで就職したい場合は修士課程までの取得がおすすめです。

◇グランゼコール(Grande ?cole)について
グランゼコールとは、フランスの将来を担う政治家・企業の重役などの出身者を輩出している、エリート大学・大学院です。
「グランゼコール」に入学すれば、企業から在学中にスカウトされることも少なくなく、また卒業後のポストはマネージャーから始まり、中には海外拠点の責任者としてすぐに働くケースも。
新卒で初任給は通常の2倍からはじまり、卒業後の輝かしいキャリアが約束されているといっても過言ではありません。
そのため、入学希望者が殺到し、入学までの道のりは日本の難関大受験以上に厳しいものと言われています。
グランゼコールに進には、まず2年間の準備学級が必須ですが、相当な量の勉強と厳しさで進級できない学生も少なくありません。
2年の準備期間を経て、やっとグランゼコールの試験(コンクール(Concours))受験資格が与えらるものの、試験は1週間に及ぶハードな内容です。

知識はもちろん、論文を読んで考察を立てるなど、独創的であることも求められるため、一筋縄にはいかないというところなのです。

メリット・デメリット

フランスの教育制度の特徴として、飛び級や留年が一般的・当たり前に行われているということが挙げられます。
日本で留年というと、かなり心配されますがフランスでは「背伸びをさせずに、その子の能力にあった場所で理解をしてから先に進ませるべき」という教育観念があるからです。
能力にあった環境で学ぶことは、子供にとって心地良い環境と言えるかもしれません。
その一方で、「留年したらやる気が無くなり、落ちこぼれになる可能性があるから、補習を徹底すべきだ」と言ったデメリットを懸念する声もあります。
実際のところ、フランスは日本にも負けない学歴社会です。
各職業教育訓練を通して取得した資格に応じて、就業可能な職業の範囲が明瞭に区分されています。
たとえば、職業高校に進んだ場合はバカロアレの他にCAP・BEPと呼ばれる職業国家資格の取得も可能で、CAP・BEPを取得が雇用の最低条件です。
さらに、フランスでホワイトカラーの仕事を得るためには、最低でもBAC+5(修士課程修了)の学歴は必須と言われています。
グランゼコールを卒業すれば、初任給は通常の2倍以上から始まり、その後のキャリアにも大きく差がでるのです。

フランスでは、義務教育期間中に留年をしてしまうと、義務教育期間中にリゼ(高校)に進めないケースも十分にあり得ます。
、資金や学業不振によりリセを中退した無資格の若者(18~22歳)にとっては生きにくい社会となるため、職業教育学校(「セカンド・チャンス・スクール」)の設置など日本にはない教育システムが出来上がっています。

まとめ

フランスの教育制度についてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?
フランスでは留年・飛び級など、あまり珍しい話ではありません。
子供の年齢と学年が一致しない場合も多く、子供の年齢を尋ねるときは、学校の学年よりも年齢をそのまま聞くのが普通なくらいなのです。
フランスでは、大学入学資格として国際バカロレアを受け付けないケースがある他、エリート大学・大学院のグランゼコールなど、他の国々とは一角を隠す教育制度を採用しています。
フランスでの就職を考えてフランスの学校への進学を考えているのであれば、将来本当にやりたいことは何なのか、その職務をするにあたって必須となる資格は何なのかを考えることが重要になるでしょう。

教育システム/フランスの教育制度.txt · 最終更新: 2021/03/03 16:55 by ryugakupedia