スペインの教育制度は、日本のように年齢によって段階が決められています。
スペインでの義務教育の年齢は初等教育と中等教育ですが、現在はほとんどの家庭が幼児教育を受けているため、実質的には幼児教育~中等教育までが義務教育といえます。
幼稚園や保育園に通わせる年齢の子供たちの教育機関です。
スペインでは、幼稚園へは3歳から、保育園には0歳から通わせることができます。
0歳から選択できる幼児教育ですが、日本のように働いている親が子供たちを預ける場所というよりは、社会性を身につける場所という位置付けがされています。
そのため、保育園に通う子供も昼には一度家に帰り、昼ごはんは家で食べる場合も多いです。シエスタという長い昼寝の文化があるスペインらしい時間の使い方です。
日本の小学校と同じく、スペインの初等教育は5歳ごろから12歳ごろまであります。
スペインの小学校には3つ種類の学校があります。
1:公立学校(Colegio Publico)
2:私立学校(Colegio Privado)
3:半私立学校(Colegio concertado)
半私立学校とは、州政府から補助金を受けている学校で、制度としては半分公立・半分私立の学校です。
また、スペインの小学校ではしつけが厳しめです。
授業の態度が悪い生徒や成績に問題がある生徒は、課外学習に参加できなかったり、最悪の場合は留年することもありえます。
小学生で留年なんて日本では考えられませんが、スペインでは当たり前のようです。
中学校にあたる中等教育ですが、スペインではここで義務教育が最後になります。
高学年になってくると、大学進学のための準備コースが用意されている場合が多く、選択できる科目も増えます。
また、卒業後に社会人として働く場合に備えるためのコースもあるなど、中等教育を境に進学の道が大きく分かれます。
高等教育からは、義務教育ではなくなります。
ここでも、大学進学コースと社会に出るための職人コースに大きく分かれています。
1:大学進学コース
Bachillerato(バチレラート)と呼ばれるコースです。
主に、芸術・科学テクノロジー・社会学から専攻科目を選び、大学の入試に向けて勉強をします。
2:職人コース
こちらは、Ciclo Formativo de Grado Medio(シクロフォルマティボ・デ・グラドメディオ)と呼ばれるコースです。
職人になるために選べるコースは約60種類以上あり、職業の選択肢が幅広いことが特徴です。地方によりますが、中でも農業関係や商業系のコースが人気です。
また、さらに専門的に学びたい場合、Ciclo Formativo de Grado Superior(シクロフォルマティボ・デ・グラドスペリオール)という上級者向けの職人コースに進学することができます。
資格を取ったり、より専門的なスキルアップを取得することが可能です。
上級者向けの職人コースを卒業すると、プロフェッショナルの職人として社会に認められることになります。
スペインの大学は、一般的には3~4年間とされています。
履修するコースによりますが、専門的な資格を取得することが必要な場合、その期間に応じて在学期間も長くなります。
大学の学部卒業:Grado(グラド)
大学院の修士号:M~ster(マスター)
大学院の博士号:Doctorado(ドクトラド)※スペイン政府に認められた資格
主な履修科目
◇自然科学◇(Ciencias naturales)
・宇宙科学
・地球物理学
・生命科学
・化学 など
◇社会科学◇(Ciencias sociales)
・経済学
・経営学
・政治学
・法学
・社会学
・教育学 など
◇人文学◇(Humanidades)
・哲学
・心理学
・宗教学
・言語学
・歴史学
・地理学
・人類学
・考古学
・民族学
・文学 など
◇応用科学◇(Ciencias aplicadas)
・工学
・デザイン学
・建築学
・農学
・医学
・薬学
・機械学 など
◇形式科学◇(Ciencias formales)
・数学
・統計学 など
勉強と遊びの切り替えをしっかりする学生が多く、真剣に授業に取り組む文化があります。
また、スペイン人は友達との交友を大切にするため、大学内や休みの日はよくバルに行ったりイベントに出かけることが多いようです。
スペインの多くの大学は、お城を想像させる雄大で綺麗なデザインになっていて、歩いているだけでも楽しく、自然に囲まれたキャンパスが多いため、授業の間の息抜きに散歩をしてみるのもいいかもしれません。
スペインの大学や大学院は、一般的に安いと言われていますが、学費の他に教材などの支払いが追加であることが多く、事前によく確認をしておく必要があります。
マドリードやバルセロナのような大都市は、スペイン人からのみでなく世界中から留学生が集まってくる人気大学が集まっています。
そのため、学費は割高の傾向ああります。
その一方で、アンダルシアやガリシアの方に行くと学費は比較的安くなってきます。
学びたい内容や住みたい都市にもよりますが、自分が過ごしやすいと感じた土地を選ぶことが大切です。