世界一の教育法を持つ国として有名なオランダ。
イエナプランと呼ばれる子どもの自主性を高める教育法は日本のメディアでも注目を集めていて、ご存知の方も多いかと思います。
今回の記事では、そんなオランダの教育制度についてご紹介して参ります!
オランダ留学をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみて下さい。
オランダでの義務教育にあたる期間は、5歳~18歳までです。
16歳以上からは、部分的義務教育にあたり、16歳までに中等教育の卒業証明書を取得していれば通学しなくても良いことになっています。
18歳までに中等教育の卒業証明書を取得していない場合は、18歳までに取得することが必須です。
なお、初等教育の授業時間は5.5時間上限/1日で、定時制の学校もあるなど、どんな教材を使ってどのように教えていくかは学校ごとの裁量にゆだねられています。
日本のように、区間で通える学校が定められることは無く、自由に私立・公立の小学校から子供に合わせた教育法を実践する学校を選べるのもオランダ教育の特徴です。
イエナプランやモンテッソーリ、シュタイナーなどの教育メソッドに沿った教育が提供される学校、宗教的教育(カトリック、イスラム教など)に基づいている学校など様々ですが、私立・公立に関わらず学費は無料。
そのため、日本のように学費に左右されずに「教育方針が子供に合うかどうか」で初等教育機関を決められます。
オランダでは、初等教育8年生(日本の小学6年生)の時点で全国最終テスト「CITOテスト」を受けます。
このCITOテストで良い結果を出すことが出来なければ、その後の中等教育の進路に影響が出てしまうため、日本に比べると早い段階で自主的に子供に進路を真剣に考えさせる機会が設けられていると言えるでしょう。
ただし、近年では「テストの結果を重視して進路をきめるのはどうかと…」という観点から、教師のアドバイスや推薦の比重が多くなっていると言われています。
12歳~オランダの中等教育の種類は3つで、どの中等教育に進かによってさらにその先の進路も決まってきます。
・職業訓練中等教育(VMBO)
12-16歳を対象とるす4年制で、中等教育を受ける生徒の約60%が進学します。
その先は中級職業教育(MBO)に進むことができます。
前期2年間が基礎課程、後期2年間が職業訓練課程です。
職業訓練課程では進路コースと専門分野を選択します。
・高等一般教育(HAVO)
12~17歳を対象とする5年制で、中等教育を受ける生徒の約20%が進学しています。
上級職業大学(HBO)に進む準備を行う教育で、HAVOディプロマを取得すると高等職業教育(HBO)または中等職業教育(MBO)に進学できます。
・大学準備中等教育(VWO)
12~18歳を対象とする6年制で、中等教育を受ける生徒の約20%が進学します。
大学教育(WO)への進学準備を行う教育で、VWOディプロマの取得を持って大学入学資格が与えられます。
オランダにおける高等教育機関は、高等職業教育機関(HBO)と研究大学(WO)に分けられます。
・高等職業教育機関(HBO)
中等教育HAVOまたはVWOを修了した方が進める高等教育機関です。
HBOで4~6年間のプログラムを修了した者は、1~2年の専門職修士プログラムに進むか、研究大学(WO)に編入するか、または労働市場に入ります。
・.研究大学(WO)
オランダの中等教育において最高レベルと見なされる大学進学教育(VWO)のディプロマを取得した、ごくひと握りのエリート(全高校生徒の10%未満)が入学できます。
日本のように入学試験は行わず、無選抜で希望大学・学部に入学できる特徴があります。
ただし医学部など希望者数が多い学部は抽選です。
3年間で学士号を取得した後、多くの学生が1~3年制課程の修士課程に進学します。
修士号を取得後は、さらに3~4年制課程の博士課程へも進めます。
画像引用:https://www.niad.ac.jp/n_kokusai/info/holland/overview_nl_j_ns.pdf
オランダには総合大学が 9校、工科大学が 3 校、農業大学が 1 校、オープンユニバーシティー1校があり、それぞれ専門研究機関をもっています。
国際的にも質の高さで評価されていて、英国の教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション (Times Higher Education 略称THE)の世界大学ランキング2021では、オランダの7つの大学が世界のトップ100大学にランクインしているほど!
オランダの大学総数14大学の内、7つの大学が国際的に高く評価されているとは、驚きです。
一方日本では、数多くの大学がありますが、うちトップ100に選出されているのは東大・京大のみです。
【トップ100のオランダの大学】
62位 ワーニンゲン大学
66位 アムステルダム大学
70位 ライデン大学
72位 エラスムス大学ロッテルダム
75位 ユトレヒト大学
78位 デルフト工科大学
80位 フローニンゲン大学
【トップ200のオランダの大学】
116位 VUアムステルダム
121位 マーストリヒト大学
136位 ラドバウド大学ナイメーヘン
187位 アイントホーフェン工科大学
オランダでは飛び級や落第も自主的に選べたり、子供の理解度や学習力に合わせて学校やコースを変更できたりと、何度でもチャンスを与えられる教育が重視されています。
1人1人の個性・特徴を抑えた進学を進められるため、日本ほど、学校に通う事のプレッシャーを感じにくいと言われているのです。
その結果か、ユニセフによる子供の幸福度ランキング2020でもオランダは世界1位に輝いています。
「誰かと比べる」という概念も「落ちこぼれ」という概念も存在しません。
親にとっても子供にとってものびのびと教育を楽しめる環境があると言えそうです。